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JISSEN-chiメンバーのインタビュー

プロフィール

インタビュイー紹介
学生向けオンラインイベントの運営を皮切りに、JISSEN-chiでの活動を開始した。現在は「皆が共通言語を持ち、しかし同時に、1人1人の言葉が尊重されながら活動できる場所にするにはどうすればいいか」をテーマに、街でのPhilosophy(VARIETASの企業としてのビジョンに当たるもの)の浸透を敢行中。また、ひとりひとりの「違い」を尊重し、街の中で対話を作り出すワークショップも開催している。
あなたの尊敬する人は誰ですか?
作家の有川浩さん

名前から、最初は男性だと思っていました笑。
ふと手に取ってみた本がとても面白くて...!今では「図書館戦争」を全巻 持っています。
彼女の描く物語は本当に素敵なんですよ。ファンタジー要素もありながら、皆がぼんやりと「このままだとやばいよな」と考えている世界を、文字で実現させてしまうんです。
有川さんのエッセイ『倒れるときは前のめり』では、ふとした日常を面白く書かれていて、「本当、そうなんだよね!」と共感できました。
個人的に、「これはこうだよね!」と強く言われる文章が苦手です。他の可能性もあるのに、と考え出してしんどくなってしまうんです。ですが有川さんは、「あくまで自分の感覚だけど」という前提で優しく文章を綴られているから、頭にすっと内容が入ってくるんですよね。
JISSEN-chiで出すアウトプットにも同じようなことが言えます。強引な主張をするアウトプットは、絶対に誰かを傷つけているんですよね。受け取る側が疲れてしまったり、そもそも伝わらなかったり。だから、「私はこう思うけど、あなたはどう思いますか?」という問いかけが、生きていく上でも、仕事ををする上でも大事なのかなと思っています。

おすすめ作品はこちら!
・『図書館戦争』シリーズ 有川浩著
・『倒れるときは前のめり』有川浩著

JISSEN-chiの活動を振り返って

以前は、色々やっても結局何を得たのか分からなかった
街で活動する以前のみゆうは、「ちょっとでも自分の興味にかするものであれば、とりあえずやってみる。合わないと思ったらやめる。」を繰り返していた。結果、色々やってはいるもののそこから何を得たのかぼんやりとしたままで、いつまでも同じ場所に踏みとどまっていると感じていた。
街という環境で自分が変わった

しかし、街で活動して、みゆうは変わった。これまでに点在していた「自分の好きなこと」が一本の線になったのだ。
それは、街が、何事もWill(やりたいこと)起点で始まる環境だったからだ。「本当に自分がやりたいのか」を常に問い続けられ、自分でもそのような機会をより設けるようになった。そして「自分が何をやりたいのか」を一番に大事にしてくれるからこそ、沢山の挑戦ができた。VTSはその代表例だ。そんなみゆうを、チームメンバーやJISSEN-chiの社会人メンバーは後押ししてくれた。「やりたいことやっていいよ」とほっぽり出さずに、行き詰まった時は働き方のナレッジを共有したり、フィードバック(助言)をしてくれた。自由に挑戦してみてようやく「自分のWillだけを原動力に施策を進めると、必ず行き詰まる。」と気付いた。エネルギー源が自分だけだと、心変わりした瞬間にすぐ枯渇してしまう。今までは、枯渇したら終わりだった。自己満足だった。
しかし、みゆうは「カスタマー像」を意識できるようになった。「自分がやりたいことで、誰かをハッピーにできるかもしれない」。そんなことを考えながら街のカスタマー像を設定し、大きなビジョンを妄想してみた。視界が大きく開けたようだった。120%増しで、ワクワクした。モチベーションが枯渇した時も、「まだカスタマーに何も届けられていないぞ」と思うと、頭を切り替えることが出来た。

そして今はカスタマー像以上に、「自分のアウトプットが最終的に何を達成できるんだろう」ということを意識することが出来るようになったという。こうして1つ1つのプロジェクトに対するWillと、それによって生まれた影響を振り返ることで、自分のやっていたことがコネクトし、それらを貫く変わらない「Will」があることに気が付いた。それが、「目に見えないものをつくりたい」ということだった。その結果、自然と自分に必要なネクストアクションが見えてくるようになった。
やりたいことをとことんやって、自問自答しながら正解のない自分のキャリアに向き合えるのは、街だからこそ出来たことだ。

「探求」すると、キャリアになる
みゆうの今のモチベーションは、Philosophyが浸透したJISSEN-chiを妄想して、そこにどうすれば近づけるかなあと作戦を練ることだ。今の段階で最大限自分が与えられる影響を妄想しては、実行していくの繰り返しだ。まだ終わりは見えない。
自分のキャリアにおいて今の経験がどう役立つかどうかは、今は特に考えていないという。VTSなどを通して目の前のことを「探求」し続けると自然に見えてくる、と学んだからだ。
今後はファンを増やしたい
今後は自分の施策のファン・あわよくば自分自身のファンを増やしたい。「ファン」という表現は実際にJISSEN-chiメンバーの1人がいつも、「私はみゆうのファンだから」と言ってくれることが嬉しくて、気に入っている言葉だ。このように「お互いを応援し合える仲間」が増えることも、街の大きな魅力の一つだ。

挑戦はここから始まった|WillDOの運営

初めての挑戦、高校生・大学生対象のオンラインイベント運営
みゆうが初めてJISSEN-chiで行った活動はWillDOの運営だ。WillDOとは、街がオンラインで主催したアイデアソンイベントである。全世界から高校生・大学生を募集し、教育の地域格差や環境問題の認知など、チームで社会課題を解決するアイデアを組み立てて競うものだ。最終的に5社の協賛を得て、70名の参加者と15名のメンター(アイデアをブラッシュアップするためのアドバイザー)、5名の審査員を迎えて実施された。
一歩ずつ経験値を積んでいく
みゆうはJISSEN-chiに入るまで、イベントの運営経験はおろか会議の議事録を書いた経験すらなかった。しかしWillDOは開催時期が決まったイベント。みゆうの経験やナレッジが追いつくのを待っていてはくれなかった。みゆうは焦りを感じた。
このままではいけない。打開策として、2つの行動を変えた。まず、一日に「一つ」物事を変えることを始めた。みゆうにとって改善点は山ほどあったが、一つ、と決めれば迷うことなく実行しやすい。例えば、議事録の書き方を「一つ」変える。会議でも何を話すべきかわからなかったが、とりあえず何かを話してみることから始めた。「今何をしたら、明日にもっと楽しんで活動できるだろう」、それだけを考えて行動していた。
さらに、周りの力を積極的に借りるようになった。みゆうは質問や共有がとても苦手だったという。これまで空手や弓道など個人スポーツをやってきたことが多く、問題はほとんど自分の中で解決してきた。しかし資料作成などでは、自分だけでは解決の難しいものが多い。そこで、プライドをかなぐり捨てて「わからないです」「助けてください」とメッセージを発信するようになった。すると周りのメンバーも惜しみなく教えてくれて、チームの方向性やタスクを理解できるようになった。
会話を通じて認識をすり合わせる

こうしてアドバイスや助言をもらっているうちに感じたのは、自分の視野の狭さだ。自分より視野が広い人は、一体何を考えて動いているのだろうか。WillDOに関連するSlack(街で使用しているチャットツール)の全チャンネルに入ると、チャンネルの会話から、チーム同士がそれぞれに対して期待する役割に認識のズレがあることに気づいた。認識のズレは、仕事を進める上で障壁になり得る。みゆうはコミュニティチーム(街のコミュ二ケーションが円滑に行われるようサポートをするチーム)に所属していたことから、各チームの間に入って情報共有に努めた。例えば、複数チームで分担して進めたスライド作成でのこと。どのチームがいつまでにどこをやるのか、最初に決まったことがあるチームの中で急に変更になっても、他のチームに伝えられていないことがあった。大忙しだったため、情報共有をおろそかにしてしまうことが多かったのだ。そこで、コミュニティチームが各チャンネルで、変更点を伝達した。このような対処を繰り返す内に、チーム間のずれが減っていったそうだ。この経験はみゆうにとって、認識の齟齬を防ぐためにはコミュニケーションが大事なのだ、と実感するきっかけになった。

まずは先駆者の知識を吸収する
WillDOの後から、みゆうが変えた行動がある。自分の考えを周りに共有すること、そして、自力で考える前にまずリサーチをすることだ。
どの分野にも先駆者がいる。記事や本を読み、そこから持ってきたものを自分なりに解釈し、まずは人にわかりやすく伝える。そして、その知識をJISSEN-chiに応用してアウトプットを出す。この解釈・伝達・創造のサイクルを回して生産する形を、みゆうは自分の働き方として会得しようとしている。

「対話」が根付いた街を目指して|VTSワークショップ

雑談中「最近ハマっていること」から始まったワークショップ

次のプロジェクトは、思いがけない所から始まった。WllDOが終わってから、街のメンバーと雑談をする機会があった。「最近ハマっていることはある?」聞かれたみゆうは「大学の授業で知ったVTSが面白い」という話をした。VTSとは、Visual Thinking Strategyの略称で、鑑賞者が受動的に説明を受けるのではなく、知っていることを存分に活用して作品を鑑賞をする美術鑑賞法だ。すると「それ良いね!やってみよう!」と社会人メンバーからの後押しがあり、トントン拍子に話は進み、VTSのワークショップ(参加者の主体性を重視した体験型の講座、グループ学習、研究集会などを指す)のJISSEN-chiでの開催が決まった。「アートに全然詳しくない初心者の自分が任されて、大丈夫だろうか」。Wiil(やりたいこと、挑戦したいこと)ベースで施策を始めることは不安でもあった。しかし同時に、「自分のキャリアを自分で築く」ということを身をもって感じた瞬間でもあった。

街は「機会は与えてもらえるけれど、生半可なものは出させない」

「勢いで始まったことでも、やるならしっかりやりきる」、というカルチャーが街にはある。ワークショップの企画書も説明のスライド資料も、しっかりと詰めないとメンバーから突っ込まれる。カスタマーのためにならないからだ。カスタマーにとってそれが本当に良いものなのか、自問しながら制作を進めた。

ワークショップ開催に向けて、まず企画書を作成し、ワークショップの流れを決めて、スライド資料を作成した。 
しかし企画書もすぐに書き始められたわけではなかった。街には、ワークショップの企画書テンプレートが用意されているが、それではVTSワークショップには合わないと思った。そこで、自分でインターネットから引っ張ってきて、フォーマットをアレンジした。
企画書作りで苦戦したことは、「このワークショップが、なぜJISSEN-chiに必要か。」という点を考えることだった。みゆうは、JISSEN-chiを運営するVARIETASが大切にしているPhilosophyに対して、このVTSワークショップがどうアプローチしていけるかをまとめた。

企画書
説明用スライド①
説明用スライド②
説明用スライド③

企画書も説明スライド資料も、街のメンバーにチェックを受ける前に、JISSEN-chiを知らない家族に何回も見せた。「分かりやすさ」を追求するためだった。みゆうには、VTSワークショップを、いつかは街を超えて日本中の人と行いたい、という野望があった。そのためには、街の住民だけが分かる資料を作っていたら、後々エラーが出ることになる。そのため初期の段階から、街を超えた外部のカスタマーも想定して説明することを心掛けた。

メンバーと協働することの難しさ

スライド資料を3週間でまとめなければいけない段階で、VTSプロジェクトに新メンバーが入ってきた。新メンバーはVTSを体験したことが無く、みゆうは何を仕事として振るべきか手探り状態だった。ある日、そのメンバーと音信不通になった。Slackにも返信が無く、Zoomミーティングにも来なくなってしまった。その後、この新メンバーから話を聞く会が設けられたため、みゆうも参加した。すると、その会で「リモートワークに慣れていないこと」「本当は、VTSには運営側よりも参加者として関わりたかったこと」が明らかになった。誰が悪い訳でも無かったが、誰かがフォローできていれば事前に回避できたことだった。
それまで1人で活動をしていたみゆうは、この時協働の難しさを学んだ。チームの責任者である今、この経験は「メンバーが来たいと思う定例にしよう」「共有はこまめにしよう」など、より良いチーム作りのための工夫に活かされている。

ワークショップ開催で気が付いた「対話」の重要性
集客の呼びかけも工夫した。宣伝のメッセージに実際に絵画を添付し、「今、絵を何秒見ていましたか?キャプションばかり見ていませんでしたか?」と質問を投げかける。これに反響があり、開催したVTSワークショップには15人ほどの参加者が集まった。

ワークショップは大成功だった。NPS(参加者の満足度を図る数値。ワークショップ後のアンケートを元に数値化。JISSEN-chiでは改善のため様々な施策に用いられる)は、フルスコアの100を記録した。やってよかったな、と思ったと同時に、みゆう自身にも実際に開催してみて得た発見があった。VTSワークショップの良さは対話やコミュニケーションにある、ということだ。「批判的思考力」の開発など、スキル面も大切ではあるが、あくまで副産物であり、参加者に委ねる領域であると感じた。一番大切なことは、「私はこれを感じた」と参加者が自由に意見を交換できる場づくりをすることだ。肩の荷を下ろして、率直な思いを発言できる空間を作りたいと思った。
また、思いがけない効果もあった。VTSワークショップで初めて会った街のメンバーと後日同じお店(チーム)で働くことになった時、「めちゃくちゃ話しやすい!」と感じた。一度VTSワークショップで、率直なコミュニケーションを取っているからだった。
自分のWillを更新していくことが、キャリア
みゆうはVTSワークショップ後のから、自分のWillを書き出して整理する時間を持つようになった。理由は、やりたいことで手一杯になって、時間が無くなることがよくあったからだ。それが深みにはまると、軽い鬱状態になることもあった。対策として、miro(オンラインホワイトボード機能)を活用し、自分が本当にやりたいことだけを書き出したり、やっている目的を確認してモチベーションを保つことを習慣的に行うようにしている。
そうして自分の今までのWillを整理してみると、自分の興味はバラバラのようで実は一本の線で繋がっていることに気が付いた。自分の興味の中心にあるキーワードがいつも同じであった。それは、「目に見えないものをつくりたい」ということだった。その場の雰囲気作りや、つながり作りにずっと興味があったのだ。それに気が付くと、自分が今までやってきたことが繋がって、ネクストアクションが自然と生まれた。
その時、「あ、これがキャリアか。」と腑に落ちた。
「対話する」文化を街に根付かせたい
今は、対話やコミュニケーションの重要性を追記した企画書を用意し、アップデートしたVTSワークショップの開催に向け準備を進めている。
まず、開催の目的が変わった。「対話が出来る環境作り」「対話するという文化を街に根付かせる」といった、ひととひとのコミュニケーションにフォーカスし、実現に必要なことや今のVTSに足りない所を埋めていくつもりだ。

終わりなき「探求」|Philosophy Guidebook

「自分の興味」と「街に必要な役割」が一致、次の挑戦へ

VTSワークショップがひと段落した後、代表からPhilosophyを街に広める活動をやってみないかと提案された。元々組織論などに興味のあったみゆうは、「やってみたい!」と提案を受け入れた。最初のプロジェクトとして、12月末にjuwaphy(ジュワフィー)の施策を行うことが決まった。これは街のメンバーにPhilosophy(VARIETASの企業としてのビジョンに当たるもの)を添えて「ありがとう」を送るという内容だった。メンバーへの感謝を思い浮かべ、それはどのPhilosophyを達成したからなのだろう、と考えてもらうのだ。そのため、Philosophyを説明する資料を作ろうと考えた。それが、Philosophy Guidebook ver.1だ。11月には、代表が体系化していた当時のPhilosophyを分解する作業を始めた。そしてjuwaphyで発表した後、1月末のTGIS(毎週1回30分で開かれる、街への理解を深める会議。街の取り組みの背景となる思想や考え方を理解し、一人ひとりが自分自身の考え方に昇華させるきっかけを提供することを目的としている。)でPhilosophyを紹介することが決まった。その過程で、もっと分かりやすくPhilosophyを伝える方法はないかと試行錯誤を重ねた。少しずつアップデートし、Philosophy Guidebook ver.2が完成した。

当時のPhilosophy
Philosophy Guidebook ver.1 で学んだこと

当時のPhilosophyは白黒のスライド資料で、見やすいが少し寂しい印象を感じていたという。実際に企業のPhilosophyを調べてみると、暖かい色使いで親しみやすさを感じるものが多くあった。これを活かせないか、と考えた。
ここで、みゆうの「こだわる」性格がさく裂した。内容もより網羅的でありつつ、暖かい色使いで親近感の持てるような資料へと改善を重ねた結果、多くの人から「分かりやすい」との声をもらった。

なにより大変だったことは、まず始めに行った「Philosophyの分解」だった。分かりやすくするために、それぞれの体現例を作成した。体現例が上手く出てこない箇所は、自分でも行動に落とし込めていないPhilosophyであることが明確になるため、良い自省の機会にもなった。この作業を進める段階でPhilosophyの一つである「行動指針」が新しくアップデートされるなどしたものの、それでもめげずに作り続けたという。

Philosophyの分解
Philosophyは、JISSEN-chiのありたい姿と、みんなのWillをすり合わせる役割

しかしPhilosophy Guidebook ver.1は既存のPhilosophyを紹介するものにしか過ぎず、目的や役割まで言語化出来ていなかったという。それが改良を重ね現在の形に落ち着いたのは、Philosophyに関わる中で、「Philosophyは、JISSEN-chiがありたい姿と、みんなのWillをすり合わせる役割である」という思いが強くなっていったからだ。それは、誰よりもPhilosophyに向き合ってきたみゆうだからこそ感じる、JISSEN-chi、ひいてはJISSEN-chiを運営するVARIETASにとってのPhilosophyの存在意義だった。

Philosophy Guidebook ver.1
TGISスライド資料
Philosophy Guidebook ver.2

Philosophyは今まで、機会がないと見ないものだった。みゆう自身も、企画書を書く段階で初めて最初から最後まで目を通したという。しかし、Guidebookを作ったことにより「表紙が綺麗だから思わず開いちゃった」「ルールってこうやると分かりやすいね」など声をかけられ、Philosophyに目を通してくれた人が増えたことが嬉しかった。

「探求」には終わりがない
それまで、Philosophyに触れることが無かったというみゆう。Philosophyをとことん「探求」しようと思った。
他者に何かを紹介するためには、まずそれを自分の中に落とし込めなければいけない。Philosophyは理解が難しい部分も多くあり、途中でやっている意味を見失ってしまうこともあった。その中でも何とか、自分がこのタスクをこなすべき理由を「意味づけ」し、奮い立たせて臨んだ。こうして苦労して少しずつ、Philosophyを消化していった。それ以降は、いかに分かりやすい資料を作るか、ということを突き詰めた。

「探求」には終わりがない。同時期に行っていた別のプロジェクトを一つ潰してしまったこともあった。しかし一方で、自分が今まで見えてこなかったこともゴロゴロ出てきた。組織にとっていかにPhilosophyが大切で、メンバーに浸透することでどんな効果が生まれるのか、といったことだ。とにかく、Philosophyに没頭した時期であった。

「インターナルサイトに載せてみる?」と代表に言われた時は、素直に嬉しかった。同時に「え、そんなことしていいんだ。」とも感じた。いちメンバーが作ったスライドを、街の全員が見るサイトに載せることが出来る、ということに驚いた。周りのメンバーも「やってみなよ」と背中を押してくれた。誰が作った、ではなく、クオリティの高いアウトプットを誠実に評価してくれる場所なんだと思った。
InstagramでPhilosophyを発信
いかに分かりやすく説明するか、ということは常に考えている。直近の改善点としてまずは、柔らかい口調で説明しようとしている。今の説明文は、分かりやすいが、少し硬い。「ちゃんと定義をすること」と「頭にスッと入ってくる説明にする」ことの両立は難しい。
また、VARIETAS公式Instagramのアンバサダー(各コンテンツの代表者が週替わりで投稿する役割)に就任してからは、InstagramでPhilosophyを発信することにも力を入れていきたいと考えている。

▼JISSEN-chi公式Instagram
https://instagram.com/jissen_chi?igshid=nwuimpms4pgm

「キャリア」の発見|新VTSワークショップ

金沢の高校でワークショップを行う機会、見えた課題

1回目のVTSワークショップ開催後、みゆうはビジョンを修正した、新しいVTSワークショップを実施しようと考えていた。アップデートでは、運営側がワークショップをリードする場を減らし、参加者が自由に感じたことを話し合う事のできる空間作りを目指した。
このアップデートの直接的なきっかけとなったことは、前回のVTSワークショップと、その後オンラインで開催した金沢の高校でのVTSワークショップだ。これは、街でのVTSワークショップが大成功だったことから、代表が高校生に向けてもやってみないか、と与えてくれた機会だった。この高校でのVTSワークショップで、「心理的安全性」の重要性を強く感じ、みゆうは悩み始めた。「心理的安全性」とは、コミュニティで誰に何を言っても、どのような指摘をしても、拒絶されることがなく、罰せられる心配もない状態として定義される。みゆうは、ワークショップは最初の5分が肝心だ、と考える。みゆうは自身も様々なワークショップに参加している。運営側、特にファシリテーター(司会進行役)以外が大きなリアクションを取るワークショップでは、話しやすい雰囲気、つまり「心理的安全性」が確保されると感じる。ワークショップも、刹那的ではあれ一つのコミュニティだ。そこで、どのようなアイスブレイクや導入が「心理的安全性」を生むのか、みゆうは探求していきたいと考えているる。

実際にみゆうが参加しているワークショップは、北欧初の職業「ペタゴー」に関するものがある。ペタゴーとは、コミュニケーションを通して、子供たちの生活教育や支援をしていく職種だ。各学校に必ず常駐し、保育園・幼稚園、障がい者施設や高齢者施設、病院、学童保育などでも活躍している。以前、北欧独自の教育機関「フォルケホイスコーレ」に興味があり、実際に参加したと語ってくれたみゆう。フォルケホイスコーレとは、試験や成績が一切なく、民主主義的思考を育て、知の欲求を満たす場であり、「人生のための学校」とも呼ばれる教育機関だ。全寮制で、生徒はみな国籍関係なく国からの助成金を受けることができる。
みゆうは「人間関係の作り方」といったような、コミュニティマネジメントにずっと興味があるそうだ。

自分はどんな「メガネ」をかけているのかを知る
VTSチームの議事録

新しいVTSワークショップのビジョンを決めるべく、新メンバーと何回も話し合った。そして、このVTSワークショップによって街にどのような変化をもたらしたいのかを確定させてから、今のVTSに足りない部分をブレインストーミング(会議に参加した人たちが自由な発想で意見を出し合い、新しいアイデアを生み出すための手法)した。

具体的には、まずメンバーのWillを共有し、それを昇華させる形でチームのWill(この場合、新しいVTSワークショップのビジョン)を決定し、それが組織のPhilosophyにどう重なっていくかを思案する。このようなワークショップの組み立て方は、みゆうがPhilosophy浸透のために行おうとしていたプロセスを実験的に行ったものだ。

TGISスライド資料

このプロセスは、組織のPhilosophyの重要性を追求してきたみゆうだからこそ思いつくものである。「その一番下の土台は自分自身のWillである」という中心はブレないことも、みゆうがモチベーションを失い、自身のWillを見つめなおした経験に裏付けされている。これが、街だからこそ体験し、再現し続けることのできる「キャリア形成」の形である。

そして今、当日説明用のスライド資料を作成している。その段階で足りない部分を、メンバー内でフィードバックし合いながら埋めていくのだ。現時点で、前回のVTSワークショップから変更したいと思っていることは、2点ある。一点目は、「心理的安全性を確保すること」、もう一点は「自分のバイアスに目を向ける」ことである。同じ絵を見ていても、注目する部分は人によって全く異なる。自分はどんな「メガネ」をかけているのか、ということに強くフォーカスしたいとみゆうは考える。具体的な方法としては最初に絵の特徴のみを参加者に伝えてイメージしてもらい、その後に絵を見ることで、自分のイメージと実際の絵のズレを知って「自分のメガネ」を認識してもらう、というアイディアが出ているそうだ。余談として、本来のVTSは「絵への理解を深める」ということだが、今回のワークショップでは「お互いへの理解を深める」ことが目的になっているため、「VTS」という名前も変更することも視野に入れている。

チームメンバーのWillを潰してしまうことが一番怖い

チームに入っているメンバーは、VTSが未経験な人もいる。「心理的安全性」って何?というところから入っているメンバーは、ワークショップの雰囲気作りの難しさに頭を抱えている。こうしたメンバーと協働する中で、みゆうはチームで作り上げていくことに関しても学びを深めている。自分でどんどん突き進んでいくタイプだというみゆうにとって、「ここみんなで決めた方が良くない?」や「ここ大丈夫かな?」とストップをかけてくれる存在が有難いという。人それぞれ気になる部分は異なるが、みゆうはそれらを積極的に声を上げることが少なかったそうだ。しかし声を上げ、違和感を伝えることで、未然に防げるエラーは沢山ある。特に2020年12月に新たにXTSチーム(VTSとMTSの企画・運営をするチーム。MTSは音楽を聞いて対話をするもの。)の責任者になってからは、共有することを意識してチームづくりをするようになった。
責任者になって意識するようになったことは他にもある。まず、チームのメンバーが来たいと思うようなミーティングにすることを心掛けた。そして、いちメンバーと責任者ではやることが違う、ということにも気が付いた。みゆうは、自分がなぜ目の前のタスクをやるかを常に意味づけすることでモチベーションを保っているというが、責任者になってからは個人のWillだけではなくチームメンバーのWillを聞いて、チームとしての意味づけを考える場を取る必要が出てきた。責任者として、「チームメンバーのWillを潰してしまうことが一番怖い」とみゆうは言う。XTSチームは、みゆうがVTSを始めたことで生まれたチームだ。自分が追い求めているものとメンバーが望むものは違うかもしれない、自分がやりたいことをメンバーに押し付けないように、と常に意識している。そして、「チームとして本当にやりたいこと」をすり合わせる過程で、対話は必要不可欠だ。

キャリアとは、自分の〈今まで〉と〈これから〉を繋ぐ作業

VTSワークショップをアップデートする過程では、先述の通り、チームメンバーが増えてからは「自分がやりたいこと」と「メンバーがやりたいこと」をすり合わせてから「カスタマーが求めること」に照らし合わせていくように気を付けるようになった。
また、VTSに出会ってから、「キャリア」を本当の意味で捉えることが出来るようになってきたという。プロジェクトを選ぶとき、過去には打算的な視点で判断していた時期もあった。分かりやすく言うと、「自分の履歴書に追記できるか」など、周りの人からの評価の対象になる材料になるかどうか、という観点で仕事を選んできたことだ。「本当に必要なのか」「本当に自分がやりたいことか」という視点は二の次だった。しかしVTSは初めて、純粋な「楽しい」「面白い」という気持ちが稼働力になって、周りに共有したいという思いでここまで来た。この経験は、みゆうにとって特別なものになった。自分のWillを見つめ直した時、「今までやってきたこと」と「VTS」と「これからやりたいと思うこと」、それぞれに対する興味が一貫していたことに気が付いたのだ。街のキャリア支援事業担当をしている社会人メンバーも言っていたことだが、「キャリアとは、自分の〈今まで〉と〈これから〉を繋ぐ作業」だ。みゆうにとって、「VTS」が〈今まで〉と〈これから〉の橋渡しになってくれた存在だという。「面白い」という単純な感情で始めることで新しい自分を発見できるかもしれない、そんな自分も振り返ると実は繋がっていることに気付く、そしてそれこそが自分の唯一無二のキャリアになる。これはまさに、みゆうがWill起点でのキャリア構築を体験したことに他ならない。

私たちって、みんな「違う」
アップデートしたVTSワークショップを一言で表すと、「対話文化を作る」ことだとみゆうは言う。「対話をする」ことは今はただワークショップの空間でのことだが、これから街全体に「対話をする」スタンス・技術が定着すればいいな、とみゆうは考えた。お互いがそれぞれの意思を擦り合わせずに「これで良いでしょ?」という意識で進むのは、チームメンバーのWillを潰すことになる。それは、あるべき街の姿ではない。そのためにはまず前提として、みんなが「違う」ことを認識する必要がある。その上で初めて、意思をすり合わせて集団としてのWillを作ろうとする「対話」が生まれるからだ。だから、みゆうはお互いが「違う」こと、つまり各々が異なる「メガネ」をかけていることを認識するためのワークショップを作りたいと考えている。

自分のWillの、その先に|Philosophyの浸透

2020年の11月頃から、Philosophyを街に浸透させていく活動を始めた。Philosophyが浸透すれば「街をなんのために作るのか」という目的をみんなが共有して、それに向かってさらにひとりひとりが創造活動に向き合えるようになる。Philosophyはみんなの共通言語となり、お店(チーム)を超えてメンバーをつなぐことが出来る、とみゆうは考えた。

「街の憲法」は街の共通言語、メンバーを繋ぐ

2020年の11月頃から、Philosophy(街の憲法)を街に浸透させていく活動を始めた。Philosophyが浸透すれば「街をなんのために作るのか」という目的をみんなが共有して、それに向かってさらにひとりひとりが創造活動に向き合えるようになる。Philosophyはみんなの共通言語となり、お店(チーム)を超えてメンバーをつなぐことが出来る、とみゆうは考えた。

街は、もっと暖かい場所になれる

なぜチームメンバーの繋がりの強化が必要なのか。あるメンバーと話している時、このような話題が上った。「自分1人で頑張って、不安や悩みをメンバーに吐露することが出来ずに、チームのzoomミーティングに来られなくなってしまう人が一定数いるらしい」ということだ。それは実際に、みゆう自身の体験にも心当たりがあるものだった。チームによっては、雑談もなく、仕事上の付き合いだけになってしまっている所もあるのが現状だ。それぞれの成長意識が強くあればあるほど、各人の興味関心は「自分」になり、仲間意識が薄れてしまうのかもしれない。そしてただでさえ「今相手がどういう状況で、何を楽しんでいて、何に苦しんでいるか」のか、オールリモートでは見えづらい。今の街は、スキルアップを促す場所でもある半面、「辛くなったら離れていってしまう場所だな」と感じた。その現状を変えたかった。街は、もっと暖かい場所になれると思った。

みゆうは、ビジョンがきちんと機能している企業の事例を調べた。ビジョンはその企業の共通言語だ。みんなのスタンダードが揃い同じPhilosophyを追いかけている企業は、とてもストレスフリーだと感じた。例えばVARIETASであれば、「お互いの時間を無駄にせず大切にしよう」というルールが前提として共有されていると、誰かが嫌な思いをする可能性が低くなる。個人がWilを基に創造活動をするのは勿論だが、そのWillの矢印の向く先が揃えばもっと仲間意識が感じられるのではないか、とみゆうは考えた。

Philosophyが生きる組織モデルとの出会い

とは言っても、Philosophyを浸透させるということは難しい。

みゆうは1月から、Philosophy浸透のための新たなアプローチを模索し始めた。そんな折、友達が送ってくれたある記事で「Creative Cultivation Model(CCM)」という組織モデルを知った。偶然の出会いだった。その記事では、CCMとは「創り手の創造的な衝動を起点としたボトムアップ型のイノベーション・プロセス」と説明されていた。組織内の創造性を「組織の創造性」「チームの創造性」「個人の創造性」といった3つのレイヤーから捉え、個人の創造的衝動がチームによる対話を促し、対話によって生成された意味が、社会や自分たちの組織に新たな変化をもたらす、という組織論だ。「個人」の創造性を出発点に、「チーム」そして「組織」の創造性を生み出そうと試みるこのボトムアップ型の組織モデルは、街の組織体制に通ずる部分が多くあった。みゆうは、この会社のwebサイトを読み漁った。そしてCCMを自分なりに解釈し、「これを街で進めるならばどういう風に組み込んでいくのか」を考えて「Philosophy構築・構想」というスライド資料を作成した。どのような組織モデルでPhilosophyが活かせるかをイメージできると、ますますPhilosophy浸透の意欲が高まった。
また、この時期に、TGIS(毎週1回30分で開かれる、街への理解を深める会議。街の取り組みの背景となる思想や考え方を理解し、一人ひとりが自分自身の考え方に昇華させるきっかけを提供することを目的としている。)でPhilosophyの説明をしたり、Philosophy Guidebook(既存のPhilosophyを分かりやすく整理・説明した資料)を作成して、街へPhilosophyの浸透を目指した。
これには反響も大きく、「Philosophyが身近なものになった」との声も寄せられた。素直に嬉しかったが、目指したいのはみんなの日常に、Philosophyが自然に登場すること。Philosophyの浸透活動は、まだまだこれからだ。

Philosophy構築・構想スライド
Philosophy構築・構想スライド
スライド資料のスキルアップが新たなワークショップを生んだ

スライド資料作りでは、「分かりやすい例に例えること」を心掛けた。理論などの難しい話は、例に例えると伝える側も聞く側も楽しい。これはVTSワークショップのスライド資料作りで学んだ経験だ。一番難しかったのは、「Philosophyの山登り」の例だ。

Philosophy guidebook ver.1

Mt.VARIETASの頂点に「ビジョン」があり、そこを目指す登山が街での「創造活動」に当たる、といった説明だが、作りながら自分自身でツッコミがさく裂した。「これでは、みんなが一辺倒に『ビジョン』を目指さなければいけない、という義務感を感じてしまわないか」「そうではなく、『ビジョン』を目指す道のりが色々ある、ということをどうやって伝えようか」。工夫をして完成したスライド資料が、分かりやすいと評判を呼び、ついにインターナルサイト(JISSEN-chiの内部向けのサイト)へ公式の説明として採用された。
また、みゆうのスライド資料と言えば、くすみがかったエメラルドグリーンや群青色など、青系の色が印象的だ。最近は赤や茶色を取り入れ始めたという。これはみゆうの好みによるもの。しかし、ただ好みの色を並べるだけでなく、色の組み合わせや明るい雰囲気に気を使って配色するそうだ。そしてプロのデザインを見て参考にするようにもなった。これらを経験して、Slide Kitchen(スライド作りに関するナレッジを共有するワークショップ)を開催したいと考えている。(2021/3/12時点開催済み)

与えられたタスクに、自分のWillを重ねる
しかし、そんなみゆうにもモチベーションが下がってしまう時期はあった。「なんで、Philosophyに関する活動をやっているんだっけ。」と、分からなくなるとしんどくなってしまう。以前なら、これがWillじゃなかったんだと離れてしまった。初期は、「自分がやりたい!」と思うWillだけでVTSワークショップなど作れたからそれでよかった。しかし、Philosophyに関する活動は、Willから始まったタスクではない、与えられたタスクだ。「やりたい!」と思ったことは事実だが、自分発信ではない。そしてきっと、将来会社で仕事をする時は、このようなパターンがほとんどだ。与えられたタスクに自分のWillを重ねる(=意味づけする)こと。これこそが、街が目指していることだ。みゆうは、この壁にぶつかった。
みゆうの場合は、この施策がアプローチできる組織やメンバーの課題点、課題が解決したらJISSEN-chiS全体に起こる変化を洗い出してみることで、意味づけを変えることが出来た。その課題が解決したり、施策が浸透したときのJISSEN-chiを考えるとわくわくし、自分のWillとどう繋がるかを考えるようになった。「施策のVision(目的)」「VARIETASが必要としていること」「自分のWill」の3点を、かけ合わせて考えられるようになったのだ。

最近(3月中旬現在)、チームに新メンバーも入ってきた。Will面談(チームの新メンバーが、チームの責任者とやりたいことをすり合わせる面談)では、ブレインストーミングを通して様々なアイディアが飛び出し盛り上がった。今後、これらがどのように実現していくか、ワクワクな気持ちでいっぱいだ。
「あなたの風邪はどこから?」をPhilosophy浸透に応用
そして今、新しい施策が進んでいる。それは、自分の創造活動に必要なPhilosophyを1つ自分で選び、活用していくというものだ。「あなたの風邪はどこから?」で有名なベンザブロックをモデルにしている。そのときの悩みや状況によって役に立つであろうPhilosophyを、カード形式で紹介するサイトを作成中だ。

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